谷村新司さん 74歳で突然の別れ アジアに広がる悲しみ 戒名に「昴」の字

[ 2023年10月17日 05:10 ]

09年のNHK紅白歌合戦で、「チャンピオン」を熱唱した「アリス」の谷村新司さん

 「昴―すばる―」「いい日旅立ち」などの名曲を生み出し、3人組フォークグループ「アリス」で活躍した歌手の谷村新司(たにむら・しんじ)さんが8日、死去した。74歳。大阪府出身。所属事務所が16日に発表した。葬儀は近親者で15日に執り行った。今年3月に急性腸炎と診断され、手術を受けて療養を続けていた。日本だけでなくアジアで広く人気を集めた谷村さん。突然の訃報に悲しみが広がった。

 ステージ復帰はかなわなかった。所属事務所は「本人も回復に向けて頑張っておりましたので本当に残念に思います。とても穏やかな顔で旅立ちました」と報告した。

 3月に急性腸炎と診断され、都内の病院で手術を受けた。主治医から「経過は良好」と言われたが退院のめどが立たず、6月からのアリスの全国ツアーは延期された。毎年出演していた8月の日本テレビ「24時間テレビ」にも不参加。番組テーマ曲の「サライ」を歌いに行けず、病床からメッセージを寄せた。「心で一緒に歌って、明日の回復のために今日を頑張ります。チンペイさん、今日の自分のために明日勝て」。自らを奮い立たせるような言葉だった。

 死因は明かされていないが、谷村さんはAB型の中でも9000人に1人の「シスAB型」という血液型。訃報を受け、音楽評論家の湯川れい子さんは本紙などの取材に「奥さんが“なかなか腸が治らない”と言っていた。珍しい血液型で闘病が難しいとうかがった」と明らかにした。

 1948年、大阪生まれ。フォークグループ「ロック・キャンディーズ」を経て、71年に堀内孝雄(73)とアリスを結成。翌72年にデビューし、ドラムスの矢沢透(74)も合流した。74年に年間303本の公演を行うなど地道な活動でファンを増やし、75年に「今はもうだれも」で注目された。「冬の稲妻」「チャンピオン」などがヒットし、70年代のニューミュージックを代表するグループとなった。81年に活動停止したが、2000年代に復活した。

 ソロでは80年発売の「昴―すばる―」が大ヒット。堀内の「君のひとみは10000ボルト」を作詞、山口百恵さん(64)には「いい日旅立ち」を提供。作り手としてもヒットメーカーだった。
 日中友好の架け橋となり、アジアでも高い人気を誇った。81年夏に北京で行ったアリスのコンサート。中国におけるポップス歌手の単独公演は初で、客席にトウ小平氏ら中国共産党幹部が並んだ。

 昨年11月にアリスの50周年記念公演を開催。作詞した新曲「BEGINNING」には「ここからまた新しい一歩を一緒に踏み出そう」という思いを込めており、音楽への意欲は衰えていなかった。
 戒名は「天昴院音薫法楽日新居士(てんぼういんおんくんほうらくにっしんこじ)」。昴のように、天の星となって人々を照らし続けるという意味が込められた。

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