藤井王将8冠へM4 前人未到カウントダウン 豊島九段撃破!“ラスト1冠”へ王座戦挑戦権初獲得

[ 2023年8月5日 04:45 ]

将棋の第71期王座戦挑戦者決定戦で、豊島将之九段(右)に勝利し、対局を振り返る藤井聡太王将=4日夜、大阪市の関西将棋会館
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 藤井聡太王将(21)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が4日、大阪・関西将棋会館で第71期王座戦挑戦者決定戦(日本経済新聞社主催)に臨み、豊島将之九段(33)に159手で勝利した。藤井は史上初の全8冠独占へ、永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を獲得。今月31日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」での第1局から開幕する5番勝負に出場する。

 二転三転の終盤戦を制した藤井は脱力感を漂わせていた。110手目以降は両者1分将棋。小学6年からプロに交じって詰将棋解答選手権を5連覇した終盤力が生きた。

 「苦しい展開が長く続いた」。終局後、藤井はどこが勝負の分かれ目だったかとの問いに「どこかはハッキリと…」と保留。熱戦を物語るように、局面を消化するのに苦労する姿を隠さなかった。

 全8冠独占への道をつないだ。王座戦は過去5期、挑戦権を獲得できなかった鬼門。「王座戦は結果が出ていなかった。うれしく思います」。5番勝負については「王位戦がシリーズ中なので、ただちに意識することではない。貴重な機会なのでしっかり全力を尽くしたい」と意気込みを語った。

 先手は藤井になり戦型は相掛かりへ進んだ。王の囲いはともに雁木(がんぎ)。昼食休憩後、開戦した。72手目、豊島が銀取りに進めた歩を無視し、藤井が「焦点の歩」を放つ。豊島が自陣へ利かせた飛車角の射程を遮断し、寄せ合いの終盤戦を抜け出した。

 先月18日、佐々木大地七段(28)を挑戦者に迎えた棋聖戦を3勝1敗で防衛し、7冠を守った藤井は夏季開催のもう一つのタイトル戦、王位戦7番勝負のさなかにある。こちらも佐々木を挑戦者に3勝0敗。4連覇へ王手をかけ、第4局は15、16日に佐賀県嬉野市で実施される。

 羽生善治九段(52)が96年に達成した当時の全7冠独占。叡王戦が17年にタイトル戦に昇格以降、8冠を独占した棋士はおらず、史上2人目の7冠に達成が期待される。

 8冠までに必要な勝ち星はこの日の勝利で王位戦7番勝負でのあと1勝、そして王座戦5番勝負での3勝の計4勝。最速で、9月27日の王座戦第3局(名古屋マリオットアソシアホテル)で8冠が誕生する。

 豊島は6月、挑決トーナメント1回戦・本田奎六段戦で振り飛車の三間飛車を採用した。居飛車党の豊島が先手で三間飛車を採用したのは12年ぶり。藤井にとっては居飛車の主力戦法だけでなく、振り飛車の事前研究も求められた。
 この日敗れると8冠は最低1年間持ち越しになっていた。21歳は、大きな関所を越えた。

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