NHK謝罪 BPO「倫理違反」について遺族が声明文発表 「NHKは人の命、死をあまりに軽く見ている」

[ 2023年12月5日 18:50 ]

東京・渋谷のNHK社屋
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 NHKは5日、今年5月に放送された報道番組「ニュースウオッチ9」での新型コロナウイルスに関する不適切な報道が、放送倫理・番組向上機構(BPO)により放送倫理違反と認定されたことについて、「視聴者の信頼を裏切った」と見解を示した。

 同局は5月15日の番組内で、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を新型コロナに感染して亡くなった人の遺族のように視聴者に誤認させた。同局は8月1日付で計4人を懲戒処分にすると発表。取材を担当した報道局映像センターの職員と上司に当たる同センターのチーフ・リードはそれぞれ出勤停止14日、同番組編集責任者の報道局チーフ・リードは減給、同番組編集長の報道局専任部長はけん責の処分となった。

 この件について、インタビューを受けた当事者である遺族が声明文を発表。「NHKは人の命、死をあまりに軽く見ている」などと厳しい声を寄せた。

 新型コロナワクチン接種後死亡者ご遺族代理人弁護士を通じ、ある遺族は「今後、いかなる報道においても今回の様な事がない様にしていただきたいと強く感じています」との声明文を発表。また、違う遺族も「はっきり言ってNHKは言い訳ばかりです。BPOの意見書にあるとおり、大切な家族の死を訴える3人の遺族の言葉を、合計わずか24秒で伝えるなどあり得ないことです。私たち遺族は飾りではありません。また、コロナ感染症での死と、コロナワクチン接種死亡との違いもごちゃ混ぜにして報道するなどあり得ないものであり、NHKのあまりに杜撰な番組作りは許せません。インタビューの時に、NHK担当者は、世間がコロナを忘れることによりこの問題を風化させてはいけないと言いましたが、放送を見て、自分達がワクチン接種後死亡の問題を風化させたいのではと感じました。NHKは、委員会が指摘されているように人の命、そして死にをあまりに軽く見ていると感じざるを得ません」と、厳しい言葉を並べた。

 NHKでは番組で再度この問題を取り上げ、「視聴者を誤認させる不適切な伝え方をした」として4人らの懲戒処分を報告。5月に取材した遺族3人の映像を改めて放送し「3人はいずれもワクチンを接種したことが原因で家族が亡くなったと訴えています」と伝えた。

 同番組は、放送倫理違反の疑いで放送倫理・番組向上機構(BPO)で6月に審議入り。審議を重ねた結果、この日、BPOは同番組について「放送が放送倫理基本綱領やNHKの放送ガイドラインに反しているとし、放送倫理違反があったと判断した」と発表した。

 この発表を受け、同局は「事実を正確に伝えるというニュース・報道番組としての基本を逸脱し、視聴者の信頼を裏切り、遺族の心情を大きく傷つける結果を招いたという指摘を真摯に受け止めます」とコメントを発表。「取材・制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする基本的な姿勢を再確認し、ジャーナリズム教育の徹底など現在進めている再発防止策を着実に実行し、視聴者の信頼に応えられる番組を取材・制作してまいります」と決意を新たにし、再発防止に努めるとした。

 ▼NPO法人駆け込み寺2020理事長鵜川和久氏
 BPO放送倫理検証委員会の意見書を拝見いたしました。NHK担当者の浅はかで思慮の無い行動と言動は許せるものではありません。私は、放映されたテーマにあった「5類になっても風化させてはいけないとの思い」と「忘れてはならない出来事」と言った内容の説明を受けました。担当者は、「大きく取り上げる」と言った表現を取っていましたし、「この問題を継続して報道していきたい」との意気込みも伝えられました。しかし、実際に放映されたのは、その言業とは大きく異なったものであり、たった24秒で語れるわけもない悲劇や残された家族の心情は伝えられることもなく、ご選族は裏切られてしまいました。NHKが「大きく言えばコロナで亡くなった」とごまかして放映したことには憤りを隠せません。この問題は意見書でも触れられていたように別枠で放送すべき内容であり、NHKには真摯な反省の下、そういった内容の番組を制作し、報道して頂くことを要望いたします。

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