TBS ジャニ性加害問題報道で社員証言「一定の忖度があったと言われても否定できない」 調査委報告書

[ 2023年11月26日 11:54 ]

東京・赤坂のTBS社屋
Photo By スポニチ

 TBSは26日、公式サイトで「旧ジャニーズ事務所問題に関する特別調査委員会による報告書」を公表。故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐる同局の報道体制について報告した。

 性加害問題を発端に「メディアの沈黙」が指摘される中、同局は「報道特集」など検証番組や取材の動きと前後して「人権デュー・ディリジェンスを長期にわたり怠ってきた」と自省。再発防止策を策定して公表することが重要として、外部委員を含めた特別調査委員会を設置していた。

 44ページにわたる報告書では「調査の概要」「事実関係と背景」「TBSとジャニーズ事務所の関係」「外部委員から『再発防止のための提言」の4章から構成。ヒアリングによる証言などを交えて検証した。

 今年3月、BBCがジャニー氏の性加害を特集したドキュメンタリー番組を放送。週刊文春も被害の実態を報じ、4月には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が性被害を訴える記者会見を開いた。これらに対する局の対応について記載した。

 BBC報道については当時、ロンドン支局からの情報で事前に放送予定を把握。ロンドン支局長が放送を視聴し、外信部長も把握していたがニュースにはしなかった。外信部長は「TBSとして取材した上で放送すべきと考えた」と証言した。ただ、BBCの報道直後から取材に向けた動きも出ており、調査報道ユニットの若手記者が申し出て、情報収集を開始していたという。

 報告書が「最大の問題」としたのは、オカモト氏の会見を取材していなかったこと。社会部として会見の情報を把握しておらず、カメラも出していなかった。「当委員会では、ヒアリングにおいてジャニーズ事務所への特別な配慮などから取材をしなかったのではないかと質問もしたが、全員がこれを否定した」とし、局内の連絡体制にも問題があったとした。

 各局で性加害報道が活発化する中、局内では報道幹部がオカモト氏への直接取材を上司に相談したがすぐに判断は出ず。そうしているうちに週刊文春からTBSが会見にカメラを出さなかったことへの質問状を突き付けられる事態に陥った。それ以前から取材に動くべきと訴えていた若手・中堅の取材チームが立ち上がり、ようやく本格的な取材が始まった。

 ある報道記者は「取材が出来ない、取材することにネガティブになること自体ありえないことだった。正しく取材し、正しく報道することをやらねばTBSという会社は死ぬと思っていた」と緒言。

 「あの沈黙は声をあげようとしている性被害を受けた人たちに対して、声をあげてはならないと、声をあげたら大変なことになるぞという脅しに近いような空気を作ってしまった。そのことに世の中の人は気づいていて、SNSなどで相当な声があがっているのに、会社の中でも、その事の重さに気付いていない人が多かった。危うい状況だったのではないか」という証言も記載した。

 一方で、取材に至る一連の経緯には不可解な点もあったと指摘。通常なら報道局首脳部の許可を得ることなどは「滅多にない」が、カウアン氏の取材に着手するかどうかについて報道幹部が上司にあたる幹部に相談していた。相談を受けた上司もただちに取材しようとはならず、指揮を執ることもなかった。

 報道幹部は「編成局などジャニーズ事務所と向き合う部署との関係が念頭にあったのは明らかで、一定の忖度があったと言われても否定できない」と証言した。

 また、ヒアリングに応じた記者の多くがジャニーズ関連報道をめぐる「『社内調整の困難さ』を口にしている」とも報告した。

続きを表示

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2023年11月26日のニュース