TBS 旧ジャニーズへ「過剰な便宜供与」認める 報告書公表、09年「駐車場事件」めぐり

[ 2023年11月26日 11:14 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 TBSは26日、公式サイトで「旧ジャニーズ事務所問題に関する特別調査委員会による報告書」を公表。2009年にアイドルグループのメンバーが公然わいせつ容疑で逮捕された事件をめぐる報道について詳細を明らかにした。

 故ジャニー喜多川氏による性加害問題を発端に「メディアの沈黙」が指摘される中、同局は「報道特集」など検証番組や取材の動きと前後して「人権デュー・ディリジェンスを長期にわたり怠ってきた」と自省。再発防止策を策定して公表することが重要として、外部委員を含めた特別調査委員会を設置していた。

 委員会による44ページにわたる報告書の中は、「調査の概要」「事実関係と背景」「TBSとジャニーズ事務所の関係」「外部委員から『再発防止のための提言」の4章から構成。ヒアリングによる証言などを交えて検証した。

 報告書では、アイドルグループのメンバーB氏が2009年4月23日未明、東京都港区の公園内で、泥撃した状態で全裸で騒いでいたとして、公然わいせつ容疑で警視庁に現行犯速補された事件をめぐる報道についてふれた。

 翌日、B氏は送検されたあと、処分保留のまま釈放。5月1日に不起訴となったが「調査で浮上したのは、B氏釈放後のTBSの対応」として局の対応を証言を交えて詳細に記載した。

 24日午後、釈放されたB氏は事務所が用意した車両に乗って留置されていた原宿警察署を出た後、報道陣のヘリやオートバイに追跡された。「TBS報道局もヘリとオートバイで追跡していたが、B氏を乗せた車両は港区赤坂のTBS放送センター内の地下駐車場に入ったのである。社内で中継映像を見ていた大勢の報道局員がカメラを持って地下駐車場に急行したところ、駐車場にいた複数の編成局員に『撮るな』などと制止された」とした。
 「記者とカメラマンは制止を振り切って、車を取り囲み、B氏に質問を浴びせたため、車はそのまま走り去った」と報道局員は取材を試み、一連の様子は当日のニュース番組内で放送された。

 委員会の調査では「編成局の担当者らが、ジャニーズ事務所関係者からの要望に応じて、許可を得た者以外立ち入ることができない自社の地下駐車場にB氏の車両を招き入れていた」とし、具体的な経緯も明らかにした。

 複数の報道局員やB氏が乗る車両を招き入れた当事者からの具体的な証言を得られたとし「編成局員Cはジャニーズ事務所関係者から電話で、報道陣の追跡から逃れるための車両の乗り換え場所を提供するよう依頼され、編成局員DとともにTBS放送センターの地下駐車場に車両を招き入れた。その後、事情を知らずに現場に来た報道局員の取材を制止しようとしていた」ことが判明した。
 一方で、当時、駐車場で取材した若手記者はヒアリングに対し「現場にはジャニーズ関係者と連絡を取っていたと思われる社員がいて『何やっているんだ、撮るな』と言っていた。偉い人が駐車場にまで出てくる事案なんだな。制作なのか、編成なのか、報道以外の人はそこまでジャニーズに配慮するんだと感じた。取材を邪魔されたのは納得がいかなかった」と証言。

 また、取材を指揮していた編集長は「釈放後、原宿署を出てきて空撮で追っていた。TBSの地下に入ってさたのを見た時、報道の一斉連絡用マイクをつかんで、『手の空いてる人は駐車場へ』と叫んだ。その後、地下駐車場で取材している記者から電話があり、『編成がやめてくれといっているが、どうしましょうか』と報告があった。私は『取材は続けて』と言った」と局内でも事件に対する姿勢で相違があり、混乱していたことを裏付けた。

 報道局内で中継映像を見ていた編成局員Eが報道局員に取り囲まれ、「知っていたのか」と詰め寄られる一幕もあったという。

 報告書では、「車両を招き入れた2人の編成局員がB氏の所属するアイドルグループが出演する番組などを担当しており、高視聴率番組を作るにはジャニーズ事務所との良好な関係維持が必須だったことは理解できる」とした上で、報道局の取材を妨害し、報道機関としての責務を自ら放棄させうる行為だったとして「特別な配慮に基づく、過剰な便宜供与だったと判断した」と結論づけた。

 当時の社会部長が「即刻、関わることをやめるべき」と進言したと証言も記載されたが、委員会の調査では結局、社内でこの一件に関する事実関係の調査や総括がなされた事実は確認できず、再発防止措置もとられていなかったとした。

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