バイク川崎バイク「スーパーマルチピン芸人」への道② 独特の感性こそBKBワールド「丁寧にメモを取る」

[ 2023年12月13日 06:40 ]

雪だるまの飾りと写真に納まるバイク川崎バイク
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 お笑い芸人のバイク川崎バイク(43)はショートショート作家として“ブンブン”とエンジンをふかしてる。2020年に「BKBショートショート小説集 電話をしてるふり」を出版して大きな反響を呼んだが、その執筆スタイルは独特だ。机に向き合って原稿用紙をひとマスずつ埋める文豪スタイルとはかけ離れている。主に使うのはスマホ。ソファーに寝転びながら完全にリラックスした状態で書き上げる。眠れない時は寝室で豆電球の下、ポチポチと画面に打ち込む。従来の小説家とは異なる自由な形で、BKBワールドが広がっていく。

 創作範囲はアイドルのショートショートから演劇の脚本、果ては法務省の18歳成人をPRする短編まで。受ける仕事は幅広い。11月には、大阪で行われた「関西演劇祭2023」で脚本演出を務めた「そこいらによくあるありふれた話」が脚本賞を受賞した。

 多彩なストーリーはスマホにストックしている大量のアイデアメモから生み出される。人としゃべった内容や独り言、日常で刺激を受けたことを書き留めていく。「メモは凄くする。無理にノルマを課したりはしない」。あくまで、こちらも自然体でアイデアを集めていく。

 スマホのメモには一見珍妙に見える「2回目ですよね」「ブツブツ交換マシーン」「最後の朝昼晩餐」などのフレーズが多く登場する。

 「ほとんどボツですけれどね。性格上、ボツが消せないというのはあります。何もメモれない日もある」

 面白いワンフレーズから、起承転結のストーリーを構築し物語を書き進めていく。心がけているのが「丁寧にメモを取る」こと。文字数の出るアプリを使い、カテゴリー分けをしながら日々保存している。

 「スマホでやると画面が狭い。一つの所にメモをし、それが1万文字とかになった場合に見る気が起こらなくなる。だから1000文字くらいメモをしたら、案(2)、(3)というようにメモを切り替えています」

 今までのメモの総文字数は5万5000文字。カテゴリーは100を超える。こうして細かく分けることで、それぞれ中身がまったく違う引き出しができる。読み返すこともでき、実際に再び手を加え作品が完成に至ることもあるという。

 「星新一を目指すと言っても、SF作家を目指していない。現代っぽい話の普遍的な部分を目指している。怖い話を書いている人は多いですけど、たまに思うのは怖いオチは楽ちゃうかな、と。心情よりはシステムを書きたい。だから受け付けない人は受け付けないでしょうね」と自身の作風を語った。

 来年には2冊目の本を出版する予定だ。その中には、4万文字程度の中編小説を初めて入れることも検討している。「ショートショートといっているのに、半分くらい1話で使うのも面白いかな」と構想を明かした。

 取材の最後には「B…ブレークしてないけれど K…結果 B…ブレークした男になりたい。BKB」とお決まりのネタで今後の抱負を語った。

 芸歴20周年を迎え、確立した唯一無二の活動スタイル。小説家バイクの進む道はグリーンコンディションだ。

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