永瀬王座 「先勝できてよかった」後手番で制す 名誉王座か史上初全8冠独占か…王座戦第1局は大接戦

[ 2023年8月31日 21:43 ]

永瀬拓矢王座(左)に挑む王座戦第1局が振り駒の結果、先手に決まり、初手を指す藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太王将(21)=名人、竜王、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が永瀬拓矢王座(30)に挑む第71期王座戦5番勝負第1局は31日午前9時、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で指され、後手の永瀬王座が150手で勝利した。

 藤井に史上初の全8冠独占、永瀬には連続5期獲得による名誉王座が懸かる歴史的シリーズ。

 振り駒の結果、先手は藤井になり、戦型は角換わりへ進んだ。両者の対局では2月のA級順位戦で角換わりへ進み、永瀬が勝利したが当時の先手は永瀬。角換わりを得意とする先手藤井を相手に10手目、角交換へ踏み込んだ永瀬にも、何らかの準備が予想された。そして22手目、永瀬が居王を一つ左辺へ寄った。前例で王を移動させるなら2段目が多く、1段目はなかった。さらに右銀を腰掛け銀ではなく早繰り銀として活用した。

 藤井が四段時代から月2、3回ペースで練習将棋を指す間柄の両者。さらにタイトル戦での対戦は今回2回目で、初対戦だった昨年棋聖戦5番勝負では藤井が3勝1敗で防衛したが、その内容は「序盤戦術でうまく立ち回られた。研究会の将棋よりさらに工夫した、違った形を番勝負で採用してこられた」と30日の前日会見で藤井が語った接戦。作戦家・永瀬の準備が次第に姿を現した。

 比較的自然な駒組みを進めた藤井に対し、永瀬は32手目7筋の歩を突いて初めて駒がぶつかった。永瀬の準備は早繰り銀による急戦策だった。歩交換の後、今度は藤井が2筋、4筋と歩を突き捨てて、動きを見せた。午後0時10分、永瀬が58分長考したまま、昼食休憩に入った。

 午後5時からの夕休憩までには59手進んだ。局面は先手藤井の飛車角が永瀬陣を直射し、永瀬飛車の頭へ歩を打っての先手。永瀬は右銀を6段目まで進出させたが、藤井の若干有利と見られた。

 夕食に藤井はおにぎり2個(サケと昆布)、止め椀、パパイヤ、ほうじ茶(暖)、永瀬は昼食に続いて陣屋カレー(ビーフ&伊勢エビシーフード)、烏龍茶、抹茶を注文した。

 再開後、最終盤に入って1分将棋となる中でもギリギリの攻防が続く大接戦だった。

 永瀬王座は「まずは先勝することができてよかった。後手番でしたので、どうついていくかという将棋になったかと思う。自信ないかもしれないと思いながら指していました。そこまで大きく崩れなければよいなという感じです」と振り返った。

 9月12日に神戸で行われる第2局について「(次戦へ)少し日にちがありますので、しっかり準備して挑みたいと思います」と意気込んだ。

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