藤井聡太王将 前人未到の頂へ、31日開幕王座戦「成長を出せるかがポイント」歴史の舞台から新しい歴史を

[ 2023年8月31日 04:30 ]

藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太王将(21)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が永瀬拓矢王座(30)に挑む第71期王座戦5番勝負第1局はきょう31日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で指される。30日は両者が対局場検分と記者会見に臨み、意気込みを語った。藤井は最短3連勝で第3局がある9月27日に決まる史上初の全8冠独占、永瀬には連続5期獲得による名誉王座が懸かるシリーズ。対局開始前の振り駒によって先手後手を決め、夜決着予定だ。

 もう18度目のタイトル戦出場となる藤井も驚いた。「お庭が広くて、対局室からの景色も素晴らしい。リラックスできます」。初来訪の陣屋は棋界とゆかりが深く、とりわけ「陣屋事件」で知られる。

 1952年の第1期王将戦。升田幸三八段(当時)による、木村義雄名人(当時)との対局拒否騒動で社会的注目を集めた。「升田先生にも葛藤があったのかなと感じます」。自身が誕生する半世紀前の史実に通じる見識。そして注目の5番勝負開幕前日、回答前の沈黙が物語る、想定外の質問にも笑みをたたえて応じる姿に余裕を感じた。

 永瀬とは四段時代から練習将棋で教わり、月2、3回ペースで研究会を重ねてきた。王座戦での対局が決まり先月から中断中だが、その指し手は隠し事なし。研究手順を本音でぶつけ合って、お互いの成長につなげてきた経緯がある。昨年6、7月の棋聖戦5番勝負ではタイトル戦で初対戦し、3勝1敗で防衛。では今回、手の内を知り尽くした相手にどう立ち向かうのか。

 「研究会を重ねて、棋風や考えを知っていることがある。そこからさらに工夫した、成長したところを出せるかがポイントです」

 22、23日の王位戦7番勝負第5局を制し、4連覇したことで20年度棋聖戦以降、出場したタイトル戦全勝で歴代2位タイ、17期連続獲得とした。19期の大山康晴15世名人を追い、また別に17期も果たした大山、中原誠16世名人(75)のレジェンドと肩を並べた21歳が志す、ワンランク上。具体的には「序盤の作戦、時間配分」を挙げた。

 王座戦は1日制5時間の長丁場ながら計測はチェスクロックのため、ストップウオッチと違って1分未満が切り捨てにならない。秒単位を含めて加算されていくため、時間の進行とともに消費が早く感じられるという。そして第1局前の恒例行事、振り駒の結果、確定する先手後手。「先後は分からないが、(それぞれ)考えてきました。多くの方の記憶に残る対局にしていきたい」。午前9時の対局開始早々、秘策が明らかになる。

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