藤井竜王 8冠防衛 大山康晴15世名人に並んだタイトル戦19連勝

[ 2023年11月12日 05:15 ]

タイトル防衛会見を行う藤井聡太竜王(撮影・高橋 茂夫)
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 将棋の第36期竜王戦7番勝負第4局は11日、北海道小樽市の銀鱗荘で第2日が指し継がれ、藤井聡太竜王(21)=8冠=が挑戦者・伊藤匠七段(21)を129手で下し、シリーズ無傷の4連勝で3連覇を達成した。同時に出場タイトル戦を19連続で制覇し、大山康晴15世名人の持つ最長記録に並んだ。来年1月開幕予定の第73期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)では前人未到の20連覇に挑戦する。

 JR函館本線を走る列車が情緒あふれる汽笛をぴゅうううと鳴らす。対局室では藤井が持ち駒の7枚を全て使い切る美しい指し回しで伊藤の王を即詰みに討ち取っていた。「3連覇という結果を出せたことはうれしく思っています」。静かに喜びを語る全8冠を祝福するかのように、またも汽笛が遠くから聞こえてくる。

 魔法のようなフィニッシュとは対照的に、中盤以降はたっぷりと冷や汗をかいた。得意の先手番で得意の角換わり戦型を選んだにもかかわらず、同学年の伊藤は涼しい顔のまま早指しで応じてくる。どの一手も想定内なのか?激しい攻め合いの中、疑心暗鬼のまま中考を重ね、第1日終了時点では2時間近い持ち時間のビハインドを背負ってしまった。

 「中盤の難しい局面で方針が分からなくなってしまい、苦しくしてしまいました」

 封じ手直前で角飛交換の打開策を採用。右辺に成り駒3枚をつくって反撃に出たが、その代償として自身の王は薄くなり、伊藤からの猛攻を浴びる。普通なら浮足立つ場面でも藤井は冷静だった。「粘りにいって、後手に決め手を与えないよう複雑な場面をつくるようにしました」。丁寧な受けの連続で、気がつけば後手は弾切れ状態に。満を持してと金で王手をかけ、馬をずばっと切って、はやてのように寄せの形を築いていく。そして最後は詰め将棋そのままの寄り切り劇。

 棋界最高賞金4400万円のタイトルを3期連続で制した藤井は「難しい将棋ばかりだが、第3局は比較的うまく指せました」と胸を張った。8冠達成直後でさえ「課題が多かった」と言う藤井にしては珍しく自賛のコメント。手応えをつかんだのも当然。7番勝負のストレート勝ちは昨年の王将戦以来。そしてタイトル戦は破竹の19連覇で、あの大山15世名人の持つ大記録に肩を並べたのだから。

 「そのことは知りませんでした。並べたのは光栄ですが、今後も意識せず次のタイトル戦に臨みたいと思っています」

 偉大なる先達を抜く可能性がある次の舞台は王将戦だ。熱い正月が再びやってくる。 (我満 晴朗)

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