日本テレビ「ジブリ」子会社化 “同族経営”拒否 宮崎駿監督「宮崎という名前で支配するのは違う」

[ 2023年9月22日 05:05 ]

<ジブリ>会見を行った(左から)スタジオジブリの鈴木敏夫氏と日本テレビの杉山美邦氏
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 日本テレビは21日、スタジオジブリの株式を取得して10月6日付で子会社化すると発表した。両社が21日の取締役会で決議した。日テレが議決権の42・3%を所有する筆頭株主となり、役員を派遣してジブリの経営をサポートする方針。日テレは40年近くにわたり同社と親密な関係を構築していた。

 子会社化に至った最大の要因はジブリの後継者問題。この日、都内で会見した同社の鈴木敏夫社長によると、盟友の宮崎駿監督らと創業したことを踏まえ「僕は(宮崎監督の長男で常務取締役の)吾朗君に継いでもらいたいという考えだった」と吐露した。

 これに反対したのはほかならぬ宮崎監督。「宮崎という名前でジブリを支配するのは違うのではないか。もっと広い目でさまざまなことをやっていくべき」との理由で“同族経営”を拒否。この日朝も今回の決定を支持した上で「吾朗が継ぐことに、俺はやっぱり反対だ」と述べたという。鈴木氏によると、吾朗氏自身もかねて「ジブリは1人の人間が背負うには大きな存在になりすぎた」と後継者となることを固辞。図らずも同族経営が批判にさらされるジャニーズ事務所とは対照的な判断を下した形となった。

 メガヒットを連発してきたジブリだが、経営には不安がつきまとっていた。鈴木氏は過去の出演番組で、1本の作品を製作するのに400~500人を要し、2時間の作品を作るのに最低2年がかかると説明。興行収入100億円を超えても採算ラインに届かない作品もあるという内情を明かしていた。14年から一時アニメの製作から撤退した時期もあった。

 この日の会見で鈴木氏は「これまでやってきたけど、経営は大変。僕らは作品作りに専念する」と明言。新社長に迎える日テレの福田博之専務執行役員らに経営を託す。映像製作はこれまで映画主体だったが「若い人材が育つのはテレビシリーズ」(鈴木氏)としてテレビや動画配信サイトへの展開も視野に入れていくとみられる。


 ▽スタジオジブリ 世界的に評価が高い宮崎駿監督のアニメ作品などを手がける映画製作会社。84年公開の「風の谷のナウシカ」のヒットを受け、翌85年にアニメスタジオとしてスタートした。92年に東京都小金井市にスタジオを建設。97年に徳間書店と合併してスタジオジブリ・カンパニーに改組したが、05年に独立してスタジオジブリとなった。主な作品に宮崎監督の「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」、高畑勲監督の「火垂るの墓」など。

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