伊藤七段 初タイトルへ王手 藤井叡王を初のカド番へ追い込む 叡王戦第3局勝利で2勝1敗

[ 2024年5月2日 21:59 ]

叡王戦第3局で藤井聡太叡王(左)に勝利した伊藤匠七段
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 藤井聡太叡王(21)=王将など8冠=に伊藤匠七段(21)が挑む第9期叡王戦5番勝負第3局は2日、名古屋市の「名古屋東急ホテル」で指され、後手伊藤が146手で勝利した。対戦成績を2勝1敗とし、初タイトルへ王手。対して藤井は22度目のタイトル戦で初めてカド番に追い込まれた。4連覇と8冠キープにも黄信号が灯った。

 「5二金型をやってみようと思っていた。ただ、手の広い将棋。どういう展開になるのか、やってみないと分からないと思っていた」

 伊藤は、迷いの中にいた序盤だったという。戦型は角換わり腰掛け銀。今期は第1局から3局連続の角換わりになった。そして、43手目、藤井が飛先の歩を突いて未知の局面に入った。

 選択肢の広い中盤、藤井にリードを許しても大差までは許さずに食いついた。96手目は藤井王の頭上へ迫った馬で孤立する銀を取るか、藤井王の2マス右へ成ったと金で守護神ともいうべき金を取るかのほぼ2択。「王手は先手」で金を取れるのに、馬で銀を取った選択が好判断だったという。

 ちょうど4時間ある持ち時間が切れ、藤井に続いて秒読みへ突入する。「秒読みに入った辺りはこちらに手段がありそうだなと思っていた」。焦りにくじけず、勝負所への嗅覚にも非凡さを発揮して抜け出した。

 昨年度の将棋大賞で升田幸三賞を初受賞した、棋王戦第1局での「持将棋定跡」。枝分かれの多い変化の膨大さに負けて読みを打ち切らず、正確に指し続けた成果が勝率上、不利な後手番での引き分けへと結びついた。当時見せた勝負へのひたむきさを再度発揮して、今度は藤井に22度目のタイトル戦で初めて2局連続で土を付けた。

 「中盤のバランスの取り方に課題が残った。そこは修正しないといけない」。11敗1持将棋の末に対藤井戦13局目で初勝利を挙げた第2局に続き、後手番でも、1持将棋を含めて8局目で初勝利。伊藤が同学年の絶対王者へまた一歩、近づいた。第4局は31日、伊藤の先手で千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で指される。

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