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こだわり旬の旅

【滋賀・琵琶湖】「光る君へ」紫式部ゆかりの地…源氏物語が生まれた石山寺 近江の風景に平安の世を偲ぶ

[ 2024年5月3日 16:59 ]

紫式部が「源氏物語」の筆を執ったとされる石山寺の「源氏の間」。式部に似せた人形も
Photo By スポニチ

 琵琶湖畔にはNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公、紫式部ゆかりの地が点在。まずは石山坂本線石山寺駅から徒歩10分の「石山寺」(入山料600円)=(電)077(537)0013=を訪ねた。奈良時代より霊験あらたかな観音霊場として信仰を集める東寺真言宗の大本山で、寺名の由来となった硅灰石(けいかいせき)群から仰ぐ多宝塔(国宝)の眺めは壮観。平安時代には多くの文学者が訪れ、紫式部が滞在中に琵琶湖に映る満月を見て「源氏物語」を起筆した伝説は有名。本堂(同)の一角には紫式部が筆を執ったとされる「源氏の間」が往時のたたずまいを残しており、思わずのぞき込んだ。

 境内の明王院では「光る君へびわ湖大津大河ドラマ館」、隣の世尊院では「源氏物語恋するもののあはれ展」を来年1月末まで同時開催中(共通観覧料600円)。前者はドラマに登場する衣裳や小道具、撮影の裏側が分かるパネルなどを展示し、後者は「恋」をテーマに平安時代の文化を紹介。見学後はドラマがより面白くなってきた。

 すっかり“紫式部の世界”にはまり、次に向かったのは湖西線近江高島駅からタクシーで約5分の、びわ湖テラスから鳥居が見えた「白鬚(しらひげ)神社」=(電)0740(36)1555。鳥居は朱塗りで湖岸から約58メートルの地点にあり、高さは12メートル。国道161号を挟み、豊臣秀吉の遺命で三男秀頼が片桐且元を奉行として造営したという社殿が鎮座する。“近江の厳島(いつくしま)”とも呼ばれる、創建2000余年の近江最古の大社で、境内の高台には「三尾の海に 網引く民のてまもなく 立ち居につけて 都恋しも」との紫式部の歌碑が立つ。平安時代、越前の国司となった父とともにこの地を通った際、漁師が網を引く見慣れない光景に、都の生活を恋しく思い出して詠んだといわれ、若き日の紫式部の胸の内がしのばれた。
 

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