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【甲南大ラグビー部】創部100周年のメモリアル Bリーグ制して、ネクスト100年への一歩踏み出す

[ 2024年5月21日 07:00 ]

集合写真におさまる甲南大学ラグビー部のメンバー(撮影・岸 良祐) 
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 チーム一丸でスクラムを組み関西大学ラグビーBリーグ制覇にトライ――。昨季3位でリーグ戦を終えた甲南大ラグビー部が、入れ替え戦出場圏内の2位以上を目標に秋への準備を進めている。1924年(大13)、旧制甲南高等学校にラグビー部が誕生してから今年は甲南ラグビー部創部100周年。次なる100年に向けて新たなスタートを切る区切りの年だ。

 現在関西大学Bリーグ所属のラグビー部は、部員数30人(他に女子マネジャー7人)とかなりの小所帯だ。それでも、19年にCリーグからBリーグに復帰して以降、20年から4位、9位、5位の成績を残し、昨年は3位と入れ替え戦出場にあと一歩のところまで迫った。

 久保田剛二監督は「スポーツ推薦で入学してくる選手は、昨年度から1人増えて3人。あとは甲南高からの内部進学者や一般試験で入学した学生です」と“少数精鋭”にならざるを得ない実情を説明する。また、最近甲南高は進学に力を入れており他大学受験が増えている状況を打破するため、高校生を対象とした合同練習会でスカウトに力を入れている。甲南大志望者には就職サポートを約束し、大学と部一体でチーム力強化を目指してきた。

 CTB塩津尚生主将(4年=県芦屋)は、1年生途中からの入部だった。「最初はラグビーを続けるつもりはなかったのですが、ちょうど新型コロナ感染がまん延していた頃で、このまま何もしないのは…」と、決意した。「部員数が少ないので常にケガの心配はありますが、今は体づくりを中心にやっています」と、秋シーズンへの準備に力を入れている。

 フランカー藤村光太(4年=県西宮)もコロナ禍での不完全燃焼から大学でもラグビーを続けた一人。「今年はFWとバックスが連係した攻撃を意識していきたいと思っています。昨年、先輩の姿を見てきて最上級生になった今、気持ちの面で変化がありました」と、学生最後のシーズンにかける思いは熱い。

 塩津主将とともにバックス展開からの突破、ポイントづくりの役割を担うCTB溝上隼史(2年=報徳学園)は「昨年はパスかキックかの判断が甘かったところがあったので、しっかり判断してプレーの幅を広げたいです」と、今季でのさらなる飛躍を誓っている。

 チームとして今季取り組んでいるのはフィジカルの強化。ウエートトレでの負荷を上げ、アスレチックトレーナーの指導を受けるようにもなった。さらに栄養士も招き、総合的な体づくりを行っている。

 また、63年(昭38)から定期戦を開催している中大も創部100周年を迎えたため、7月7日に花園ラグビー場で試合を行うことが決まっている。秋のリーグ戦に向けて弾みをつけたい一戦となるはずだ。

 甲南ラグビー部創部100周年記念式典は先月下旬、神戸市の神戸メリケンパークオリエンタルホテルでOBや現役の中学、高校、大学のラグビー部員、関西のラグビー関係者ら430人が集まり、盛大に執り行われた。 川口武・甲南ラグビークラブ中高OB会会長(69)の開会のあいさつからスタートした記念式典は、中学・高校・大学の活動報告をはさみ、久しぶりに再会した卒業生らが昔話に花を咲かせ、旧交を温めた。

 川口・中高OB会会長は「僕が大学2年の時に創部50周年を経験しているので、節目で巡り合わせた運命の面白さといいますか、たまたまそういう役目の時にOB会の会長をやってるような感じですね」と、クラブの歴史に思いをはせていた。

 萩山謙二・甲南ラグビークラブ大学OB会会長(62)は、甲南高校時代は柔道部に所属していた。インターハイを終えた夏以降に助っ人としてラグビー部に参加。大学入学後、柔道部で1年生時からレギュラーに抜てきされながら「無理やりというか、僕もラグビーが好きになっていたので入部した」と、ラグビーとの不思議な縁を振り返った。

 甲南ラグビー部は、旧制高等学校設立の翌年、1924年(大13)に創部。戦後の学制改革により48年(昭23)に設立された新制高等学校と51年(昭26)設立の新制大学へ引き継がれた。55年(昭30)、56年(昭31)と2年連続で全国地区対抗ラグビー大会で優勝した。55年から関西大学リーグに参加し、67年(昭42)までと70年(昭45)、71年(昭46)年までAリーグに所属。57年(昭32)の2位をはじめ3位4回の成績を残している。85年(昭60)にもBリーグ優勝を飾っている。

 ○…チームを率いて4年目の森ヘッドコーチは「就任してからチーム改革に3年かかりました。規律意識としっかりとしたラグビーができる環境を強く求めました」と、チーム再建の過程を振り返る。今季は「バック・トゥ・ベーシック」を掲げ「超フィジカル」をテーマに練習に取り組んでいる。昨年Bリーグ3位だったが、レギュラーの約半数が卒業した後の新チームに課題は山積み。「1対1に強くなることとスキルに磨きをかける」を念頭に、もう一度基本に立ち戻り、今季に臨む。

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