G1周年記念競走展望

【平和島SGグランプリ】最高峰の舞台 今大会から出場枠拡大

[ 2014年12月12日 05:30 ]

オールスター表彰式でメダルを手にする(左から)2着の今村豊(山口)、1着の菊地孝平(静岡)、3着の今垣光太郎(福井)
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 ボートレース界最高峰の1億円バトル「SG第29回グランプリ(賞金王決定戦)」は18日、東京・ボートレース平和島で開幕する。関東での開催は00年の当地以来14年ぶり。今大会から出場枠の拡大、2ステージ制移行など一新され、スケールアップ。獲得賞金順位1位の菊地孝平(36)を含めて18人の精鋭が艇史に新たな1ページを刻む。

◆地元SG制覇で波に乗る菊地孝平
 SG4優出2V。堂々の成績で賞金ランク1位に輝いた菊地。6月の浜名湖グランドチャンピオンでは、念願の地元SG制覇も達成した。

 「地元でSGを勝てたのは凄くうれしい。今のところは良い1年を送れている。グランプリも勝てたら“良い1年だった”と過去形で言える。この業界の1番のイベントであり、頂上のレースを獲ることによって、どんな景色が見えるのか興味はある。ヘルメットの重みを直に感じてみたい」

 さらなる高みを目指す菊地が、その歩みを止めることはない。

◆手応え十分 最高のリズムで臨む太田和美
 16年ぶり2度目の黄金ヘルメット戴冠へ、太田が調子を上げている。グランプリ直前のSGチャレンジCを制覇。「近年はリズムを落とした状態でグランプリに行っていたが、この3年で今年は最高のリズムで行ける」と手応えをつかんだ。

 平和島では5月の周年記念で優勝。「今までより良いイメージで行けそう」と、当地への苦手意識も払拭(ふっしょく)しつつある。「毎年、黄金のヘルメットをかぶりたいと思っている」。今年の流れなら、この願いをかなえられるはずだ。

◆いつも通り淡々と グランプリ常連の松井繁
 松井は3月のクラシックで12回目のSG制覇。今年のグランプリ出場権を誰よりも早く手に入れた。その後のSGでは優出していないが、津周年VなどG1で結果を出して賞金ランク3位。トライアル第1ステージが免除されるシード権を、しっかり手に入れた。

 これで9年連続のグランプリ参戦。勝ち上がり方式が変更されても動じることはない。「(グランプリは)今年が初めてでもないし毎年のこと。いつも通り淡々と自分の仕事をするだけ」。悠然と開幕を待っている。

◆G1で圧倒的成績誇る山崎智也
 シード権が与えられる賞金ランク6位以内には今年のSG覇者が名を連ねたが、山崎だけは異なる。SGでは優出すらないが、G1で7優出5Vの驚異的な成績を残して4位にランクイン。「ツキもあるが、エンジンが1年を通して出ていた。ペラの調子も悪くなかった」と振り返った。

 一昨年はグランプリを制覇したが、昨年は思うような結果を出せず、グランプリ出場を逃した。「昨年みたいな思いはしたくない」。強い気持ち胸にV字回復した山崎が、再び年末の大一番を盛り上げてくれるだろう。

◆白井英治 “無冠の帝王”から新たな一歩へ
 苦節17年。8月のまるがめメモリアルを制し、悲願のSGウイナーの仲間入りを果たした。“無冠の帝王”の重圧から解き放たれ、頂上決戦で新たな一歩を踏みしめる。「今村さんと出られるのは力強い。2人でいい結果を出したい」と夢は師匠・今村との賞金王争いだ。当地は03年の開設49周年記念でG1初優勝。02年のダービー、08年のオールスターで優出とかつて平和島と言えば白井だった。「当時を思い出してまた頑張りたい」。ホワイトシャークの戦いはこれからだ。

◆飛躍の一年 スタート勝負を意気込む吉田拡郎
 今年、最も飛躍したのは吉田だろう。4月の大村周年でG1初Vを飾ると、7月のまるがめオーシャンCでSG初制覇。「選手生活の中で一番、気持ちの入った1年だった。その気持ちは今も継続中。今年は自分が一番強いつもりで走っている。黄金のヘルメットをかぶる姿を見せたい人がいる」。グランプリ初参戦となるが、出場だけでは満足しない。目指すは優勝だけだ。「僕の持ち味はスタートだけ。スタート勝負できる平和島なら勝つチャンスはある」。果敢な踏み込みで、頂点まで一気に駆け上る。

◆グランプリにめっぽう強い井口佳典
 SG5V。才能ひしめく85期「銀河系軍団」の王様だ。今年はとこなめ、徳山でG1タイトルを奪取。SG戦線序盤こそ見せ場をつくれなかったものの、とこなめダービー、下関チャレンジカップで連続優出と勢いを加速させる。グランプリは09年の第23回大会を制覇するなどめっぽう強い。昨年、4回目の出場で初めて優出を逃し「初めてベスト6に入れない経験をさせてもらった。その悔しさは忘れない」。SG初優勝(08年、オールスター)の平和島で2回目の戴冠をもくろむ。

◆年齢を感じさせない活躍を見せる今村豊
 「50歳を過ぎて一番いい1年」と充実の表情を浮かべる艇界の“レジェンド”。5月のオールスター(福岡)、6月のグランドチャンピオン(浜名湖)とSG連続優出。最年長SG優勝記録の更新こそ逃したが、いずれも予選1位→準優勝戦1号艇→優勝戦1号艇と内容のあるレースを見せた。10月の下関周年記念で12年ぶりの地元G1優勝を果たした53歳。「端から見ると“この年齢で”と言うかもしれないが、まだ老いてないって!!」。グランプリを平定し、伝説を完結させる。

◆瓜生正義 得意水面で6年連続SG制覇へ
 昨年まで5年連続SG制覇の瓜生だが、今年はSG2優出0V。G1でも4優出1Vと、少し物足りなさを感じさせる1年だった。「エンジンは動いてくれた年だと思うが反省点は多々ある」と表情も厳しい。ただ、記念でコンスタントに予選を突破し、賞金ランク9位。これは地力があるからこそ成せる業だ。

 決戦の舞台・平和島には「デビュー初優勝の場所だし思い入れがある」と好印象。昨年のダービーでも優勝を飾った。10年連続グランプリ参戦の瓜生が得意水面で頂点に立つか、注目が集まる。

◆久々の参戦となる仲口博崇
 9年ぶりに仲口が頂上決戦に帰ってくる。それも今回はSG覇者としてだ。地元とこなめダービーでSG初V。「昨年と今年は気持ちの入った2年だった。上りきった感がある」。デビュー24年目にしての悲願達成を感慨深そうに振り返った。

 近年はSG戦線から姿を消しつつあったが、昨年後半から徐々に復帰。「落ちてみて、またSGで走りたいと思った。グレードレースで活躍し続けたい」。グランプリ優勝戦に残ることが目標達成への最短ルート。来年につながる走りを見せてくれるだろう。

◆毒島誠 次は天下取りへ
 関東の新エースへの道をひた走る。昨年のまるがめメモリアルでSG初優勝し、初出場となったグランプリは決定戦まで駒を進め4着。「楽しかったし、経験することの大切さをまじまじと実感した4日間」と次は天下を取る番だ。今年はSG皆勤賞で予選落ちはたったの2回、G1は6月の尼崎周年記念Vを含めて優出5回とトップレベルを維持した。エンジン出し、旋回テクニックと超一流の“怪物”は「関東でまたとないチャンスなので意識していく」と色気を見せる。

◆チャレンジ精神あふれる茅原悠紀
 茅原は5月の平和島周年で優勝戦フライング。7月の蒲郡周年を最後にG1戦線からは姿を消した。大幅な賞金加算が狙えるのはSGだけ。非常に厳しい状況だったが、ダービーとチャレンジCの連続優出で賞金12位にランクインした。「ダービーの時点でグランプリに行く気マンマンだったので、結果には満足している。平和島で良いレースをして少しでも貢献したい。チャレンジ精神で行く」。初出場のグランプリでも狙うは優勝のみ。活躍することで、迷惑をかけた平和島に罪滅ぼしをする構えだ。

◆水面実績十分の今垣光太郎
 グランプリ初Vへ、今垣がリズムアップしている。5月のオールスターで優出した後は目立った成績がなかったが、11月から急上昇。宮島で代替開催された鳴門周年で優出、続く福岡周年で優勝と最近の勢いには目を見張るものがある。

 水面実績も十分。「チャレンジC(99年)で優勝してるし、他のSGでも優出できている。平和島は好き」と言い切る。また、6日制への変更にも「僕はじっくりエンジンを仕上げたいので長丁場の方が良い」と歓迎ムードだ。活躍できる下地は整っている。

◆連覇めざす池田浩二
 昨年、2回目のグランプリ覇者となった池田。今年はF2の立場で尼崎クラシック優出の離れ業をやってのけるなどSG優出4回。事故禍に苦しみながらさすがの存在感を示した。平和島は02年のダービーでSG初優出(4着)。11年のダービー、昨年のクラシックと2個のSGタイトルを獲得し「相性はいい方なのでいいエンジンを引ければチャンスはある。(連覇の)想像はつかないがチャレンジャーとして行く」。艇界最高峰のテクニックを見せつけ、連覇をたぐり寄せる。

◆丸岡正典 3度目の正直で頂点へ
 08年のまるがめ、12年の福岡とダービーV2の実力者。今年は5月の福岡オールスターで優出(5着)した以外は低空飛行を続けたが、転機となったのは10月の戸田周年記念。3日目に節目の通算1000勝を飾ると、その勢いのまま優勝し「ボート人生の中でこれ以上ない思い出の一節」と目を細めた。地元で経験した過去2回のグランプリは優出を逃し「住之江ではだめだったので変わるのはいいかも」。気負うことなく、まずは師匠の太田の待つトライアル2nd進出を狙う。

◆一走入魂 初の大舞台となる桐生順平
 地元の戸田で開催されたG1ヤングダービーの初代王者に輝き、念願のタイトルを奪取した桐生。いよいよ大舞台に殴り込みをかける。SG優出2回の昨年と比較すると「今年はSGをただ走っていただけ」と反省するが、異次元のターンスピードに裏打ちされた攻めのレースは凄みを増す一方。「ファンが沸くようなレースをしたら、勝手に結果はついてくる」とイメージを膨らませる。チャレンジャー精神を忘れず一走入魂。次代のSGウイナーは間違いなくこの男だ!!

◆再び上昇カーブ描く石野貴之
 下関チャレンジC最終日8R特別選抜B戦。石野は1周2M、持ち味の全速戦で出場枠を争った田中を逆転。3回の賞金王制覇を誇る同郷の先輩を退け、2回目のグランプリ切符を獲得した。10年にSG初優勝を果たし一時その歩みを緩めたが、再び上昇カーブを描き始めた。同期の吉田のSG初優勝に刺激を受け「一緒にグランプリに行きたかったし、当然負けたくない」と闘志。前回出場した10年(住之江)はファイナル2着なら、狙うのは黄金のヘルメットだけだ。

◆下克上狙う田村隆信
 登録番号4000番台初のSGウイナーとしてその名をとどろかせる田村。今年1月に幸先良くからつ周年記念を制覇したが、SG戦線で不発に終わり不満の残る1年となった。それでも、辛くもグランプリ18番目の椅子に滑り込んで実力を証明。「1走目から一発勝負というのは好き」と2年連続のファイナリストを見つめる。舞台となる平和島は昨年、G1とダービーのダブル優出と相性は申し分なし。コース取りから沸かせる“変幻自在のトリックスター”だ。

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