テンダラー(1)面白半分で受けた劇場オーディションで予想外の合格「落ちてたら芸人やってなかった」

[ 2024年5月13日 12:00 ]

結成30周年を迎えたテンダラー(左から白川悟実、浜本広晃)
Photo By スポニチ

 コンビ結成30周年を迎えた「テンダラー」。「あっちゅう間」と表現するほど充実していた芸人生活をうかがわせる。6月からは記念の全国ツアーも開催。今年はフルスロットルで駆け抜ける。一方で、ツッコミ担当の白川悟実(53)がリーダーを務めるロックバンド「ジ・白川バンド」に“世界デビュー”のビッグチャンスが訪れている。芸歴30年でも精力的に活動する2人に、現在の心境を聞いた。(取材・構成 江良 真)

【テンダラー・インタビュー(1)】

◆あっちゅう間だった30年◆

 ―30周年です。率直にどういうご感想でしょうか?

 白川悟実「ほんま実感なくて(笑い)」

 浜本広晃「芸人でもミュージシャンでも30年と聞くと、長っ!と思うじゃないですか。でも、みんな言うけど、あっちゅう間です」

 ―特にテンダラーさんの場合は、いい意味でずっと若手感があるというか。

 白川「時代もありますけどね。昔なら大師匠ですけど」

 浜本「この世界に入ったときに阪神師匠とかが30代後半で、巨人師匠も40前半」

 白川「お弟子さんもおって、貫禄めちゃありました(笑い)。楽屋におっても師匠の風格ありましたもん。ぼくら、いまだに誰か来たらすぐ立てるようなカッコで座ってるから(笑い)」

 浜本「でも、なんかいてくださってうれしいんです。自分たちもこんな芸歴になってきたら、出番も後ろの方になってくるじゃないですか。でもやっぱり師匠方、先輩方が後ろにいらっしゃるとね」

 白川「安心感というかね」

 浜本「大御所になっても舞台に立っておきたいという気持ちにさせてくれますよね。30年目でずっとやっていきたいんです!というのもあれなんですけど(笑い)」

 ―まず、お笑いを目指すことになった理由などを教えていただけたらと思います。

 白川「ぼくはNSC(吉本総合芸能学院)に友達に誘われて入ったんです。軽い気持ちで入ったんですけど、そんなにおもしろくなくて(笑い)。ジャズダンス踊ったり、発声練習したり。何これ?と思って。毎月1万5000円の月謝がもったいないなく感じて辞めてしまいました」

 浜本「笑いの基礎じゃないけど、そういうことを教えてくれたんとちゃうんや」

 白川「ジャズダンスやった(笑い)」

◆初めて立った劇場でウケた瞬間忘れない◆

 ―で、浜本さんとショーパブで知り合われるんですよね。

 浜本「そのショーパブが横山ノックさんのお弟子さんで、横山アラン・ドロンというコンビのお2人がやってはったんです。だからお笑いもあって、そこでステージに立ったりしてました。梅田とミナミに2店舗あって、ぼくがミナミで、白川は梅田店でした」

 白川「だから一緒には働いてないんです」

 浜本「そのお店、ステージがあって席が130くらいあるんですが、そこで笑いをとるという経験をして、めちゃめちゃおもしろいなあと思って、本格的にやってみたいと思い始めたんです。で、梅田店の白川という人がNSCにおったという話を聞いて、声をかけてみたんです。ミナミ店でイベントするから、一緒にやってくれませんか?って。そしたら、いいよおって言ってくれて」

 ―で、初のコンビを組むんですね。

 浜本「そう。ほんでネタをやったらウケて。気を良くして、いっぺん外でやってみたいと思って。白川は元々NSCにいたんで、詳しいじゃないですか」

 白川「2丁目劇場でオーディションライブあるから出る?みたいな感じで言いました」

 浜本「出てみましょう!となって。そしたら白川も、いいよお、と言ってくれました。プロになる!という強い思いではなく、おもしろそうやからやってみいひん?みたいな感じでしたけどね。そしたらめっちゃウケて合格してもうた。そこでぼくはスイッチ入って、白川に“店辞めてやってみません?”と言ったら、いいよおって言ってくれたんです」

 ―白川さん、ずっと「いいよお」ですね。

 浜本「ハハハハ」

 白川「(笑い)ただ、ぼくもショーパブのステージに立ってフツフツと燃えるものもあって。だからウケた時はうれしかったなあ」

 浜本「あのウケた瞬間は今でも覚えてますもん。あれでもし合格してなかったら、たぶんやってない」

 白川「やっぱり無理やったなあ、自分らのこと知ってる客にしか通用せんなあ、で終わってたやろうな」

 ―どういうネタをやったんですか?

 浜本「忍者のネタでした。先輩忍者と後輩忍者で、白川はスリッパ持って突っ込んでましたから(笑い)。“何してんねん、おまえは”とか言いながらパーンと頭はたいて」

 ―テンダラーさんとは思えない(笑い)。

 白川「まあショーパブはコントみたいなほうが合ってたんですよね。今考えたら」

◆達者な若手に舌巻くも、どこか感じる「誰々っぽいな」◆

 ―浜本さんがそのショーパブに入ろうと思ったきっかけは何だったのですか?

 「それは単純に、おもしろそうやったからです。実際、働き始めたら楽しくて、ウケたらもっと楽しくて。そしたら、色々考えるじゃないですか。今度はこうやったらもっとウケるかな?とか。その店に入るまではテレビでドリフとかひょうきん族とか漫才とかを普通に見てて、自分がやるとか1ミリも思わなかった。中学生の頃の自分が今の自分を見たらビックリすると思います」

 ―でも、昔の芸人さんにはそういう方も多いような気がします。

 浜本「どうなんですかねえ。ただ、今の子はホンマうまい。やっぱYouTubeとか、教科書いっぱいあるじゃないですか。ぼくらの時はなかったから、よう舞台袖に見にいきました。いま舞台袖行く必要ないじゃないですか。YouTube見たらいいし。だから、うまいなあって思う漫才師は多いです。1年目?2年目?ええ!?みたいな」

 白川「ちゃんと形になってる」

 浜本「すごいなあ、と思う反面、誰々好きなんやろなあとか思いますね。いつも見てるから似てくるんでしょうね。誰々っぽいな、みたいなのはあります」=(2)に続く

 ◇白川悟美(しらかわ・さとみ)1970(昭45)年11月1日生まれ。大阪府大阪市出身の53歳。「テンダラー」のツッコミ担当。ショーパブの同僚だった相方の浜本広晃に誘われ、コンビ結成。1994年デビュー。お笑いの活動の合間にロックバンド「ジ・白川バンド」のリーダーとしても活動している。

 ◇浜本広晃(はまもと・ひろあき)1974(昭49)2月15日生まれ。大阪府堺市出身。「テンダラー」のボケ担当。ショーパブで白川と出会い、芸人の道を目指した。旧車をこよなく愛し、YouTubeで番組を持つほど。大阪・心斎橋で焼き鳥店を経営するなど、お笑いだけではなく多角的な活動を続けている。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2024年5月13日のニュース