「ふてほど」P語る盟友クドカンの変わらぬ魅力「律儀な人」25年前の初タッグから「天才」視聴率でブレず

[ 2024年3月12日 08:30 ]

金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」第7話。羽村由貴(ファーストサマーウイカ)に促され、小川市郎(阿部サダヲ)はエゴサーチをし…(C)TBS
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 脚本家・宮藤官九郎氏(53)の最新作、TBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(金曜後10・00)が1月クール最大の話題作となった。物語は終盤に入り、さらに予測不能の様相。宮藤氏と長年、黄金タッグを組む磯山晶プロデューサー(TBSスパークル)に盟友との出会い、魅力や凄さを聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 宮藤氏がオリジナル脚本を手掛け、俳優の阿部サダヲが主演を務めるヒューマンコメディー。「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」の宮藤氏&阿部&磯山氏が「タイガー&ドラゴン」以来19年ぶりにタッグを組んだ。主人公は1986年(昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップしてしまった“昭和のダメおやじ”体育教師の小川市郎。彼の“不適切”な言動がコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるヒントを与える。

 毎回、昭和と令和のギャップなどを小ネタにして爆笑を誘いながら、「多様性」「働き方改革」「セクハラ」「既読スルー」「ルッキズム」などの社会的なテーマをミュージカルシーンに昇華。コンプライアンス社会に一石を投じる宮藤氏の意欲的な筆が冴え渡り、SNS上で大反響を呼んでいる。

 磯山氏と宮藤氏の出会いは、99年に6作品が放送されたTBSの深夜ドラマ「コワイ童話」シリーズ(1話30分、4話完結)の「親ゆび姫」(9~10月)。いわば若手プロデューサーと若手脚本家の“発掘枠”で、入社10年目の磯山氏は「人魚姫」に続き「親ゆび姫」を企画。脚本家を探していたところ、「大人計画」の長坂まき子社長から宮藤氏を紹介された。

 「大人計画」は松尾スズキ氏が88年に旗揚げ。97年に“演劇界の芥川賞”と呼ばれる第41回岸田國士戯曲賞に輝き、押しも押されもせぬ人気劇団となった。宮藤氏は91年から参加。磯山氏と初タッグを組む前、執筆したテレビドラマ脚本は数本だった。

 「親ゆび姫」は、同級生・君島(高橋一生)への想いを打ち明けられない内気な高校生・冴子(栗山千明)が“魔法の薬”を使って君島を親指サイズに小さくし、引き出しの中で飼う…というストーリー。磯山氏の企画書から宮藤氏がすぐさま4話分のプロットを書き上げ「それを読んだ時、もう『この人、天才!』と思いました。プロットの段階で台詞がたくさん書かれていましたが、凄く笑えて、いい台詞でした。ちょっとふざけている感じやセンスが凄く合うな、と。このドラマ、めちゃくちゃ話題になっちゃう!って思いましたが、当時は全然でした(笑)」と振り返った。

 00年「悪いオンナ」シリーズ(1話30分、4話完結)の「占っちゃうぞ」を経て、同年4月期のヒット作「池袋ウエストゲートパーク」(金曜午後9時枠)が生まれる。その後、宮藤氏は引く手あまた。13年度前期のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」、19年のNHK大河ドラマ「『いだてん~東京オリムピック噺~」も手掛けた。

 「『母を逃がす』(99年5月、東京・本多劇場)という舞台を見た後に初めてお目にかかったんですけど、さっきまでステージ上で色っぽい役を演じていたのに、とにかく顔色が悪くて覇気がなくて(笑)。それ以来、25年のお付き合いになりますが、締切や約束を絶対守る人。ずっと変わらないですね。視聴率の良し悪しでも、もちろんヒットすれば喜ぶんですけど、数字で作品がブレることもないです。私と出会った縁をずっと大切にしてくださっていて、とても律儀な人だなと感謝しています」

 昭和は受け手として、平成・令和は作り手としてエンタメを知り尽くした2人だからこそ生まれた今作。第7話「回収しなきゃダメですか?」(3月8日)、市郎は「いつか終わる。ドラマも、人生も。だから、そのギリギリ手前まで、とっ散らかってていいんじゃないかね?最終回が決まってないなんてさ、最高じゃん」ーー。最後まで泣き笑いしながら見届けたい。

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