「どうする家康」OPタイトルバック変更の狙い 三方ヶ原が転機「戦国ど真ん中」第3弾は?大河過去に数例

[ 2023年5月15日 07:00 ]

大河ドラマ「どうする家康」第18話「真・三方ヶ原合戦」。オープニングのタイトルバック映像が第2弾となる新バージョンに“サプライズ変更”(C)NHK
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 嵐の松本潤(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は14日、第18回が放送され、この回からオープニングのタイトルバック映像(タイトルの題字や出演者・スタッフのクレジット)が新バージョンに“サプライズ変更”された。金や黒を基調にした重厚感あふれる色合いは、SNS上でも話題に。大河のタイトルバックが途中で新調されるケースは過去に数例。演出統括の加藤拓氏、アートディレクターの菱川勢一氏(DRAWING AND MANUAL)が第2弾制作の理由や舞台裏を明かした。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。

 第18回は「真・三方ヶ原合戦」。「三河一向一揆」「伊賀越え」と並び、徳川家康の“3大危機”に数えられる「三方ヶ原の戦い」(元亀3年、1573年)が、第17回「三方ヶ原合戦」(5月7日)に続いて2週にわたって描かれた。家康の人生最大のピンチを2部構成で壮大かつ丹念に紡いだドラマ前半のクライマックスの一つとあり、このタイミングでタイトルバックを一新した。

 従来の白背景の柔らかいイメージから金・黒背景に。SNS上には「オープニング映像が重厚になってカッコいいなぁ。ここからの家康を象徴するのかな」「重厚にリニューアル。金、赤、そして黒が複雑に混ざる具合が今後の展開を表現しているんだろう」「今までの若々しさから重厚さにシフトしたね。三方ヶ原の戦いが家康の人生にとって大きな転換ポイントとなった、その表れのよう」「第1弾も素敵だったけど、第2弾のカッコよきこと。音楽とのマッチングに毎回鳥肌です」「以前までの若々しい、どこか門出を感じさせるような明るい爽やかな色合いとは打って変わり、金・赤・黒を基調とした重みを感じる迫力あるアニメーションがとても素敵でした」などの声が続出。反響を呼んだ。

 2013年「八重の桜」は震災復興への祈りを込め、月毎にタイトルバック中盤部分が変化。12組のクリエイターが参加した。19年「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」も第2部(後半)仕様が制作されるなど、大河のタイトルバックが途中で変わるケースは過去に数例ある。

 演出統括の加藤氏は同局を通じて「第18回『真・三方ヶ原合戦』からタイトルバックがガラリとチェンジ。徳川家康の生涯はとても長い。『どうする家康』のタイトルバックは、家康の人生とともに激動の戦国時代“全部”を表現するので、1つのパターンでは描き切れません。伸びやかな青年期から絢爛たる“戦国ど真ん中”へ。三方ヶ原合戦で家康は“死”に直面し、そのことが彼に強く“生きる覚悟”を目覚めさせるのです。タイトルバックのアップデートも、ここがターニングポイントでした。日本史上最高のエンターテインメント“戦国時代”は、本気モードで家康に襲い掛かります!」とコメント。

 菱川氏による新作の仕上がりについては「金バックに花鳥風月を織り込みながら、躍動感あふれるアニメーションを組み合わせたゴージャスな一発!ではないでしょうか。そこに登場する『どうする家康』ロゴも、さらに躍動感にあふれているような気がします」と絶賛。第3弾については「家康の波乱万丈の生涯を描き切るためには、さらなるアップデートが必要なフェーズも待ち受けていると思いつつ…そこはお楽しみに!」とした。

 アートディレクターの菱川氏も「第18回から新しいタイトルバックになりました。なぜこのタイミングだったかといえば『三方ヶ原の戦い』で家康が学んだことは大きく、転機だと言えることが大河の物語として大きな分岐点になるという考えからでした」と同局を通じて狙いを説明。

 「実はタイトルバックの制作は監督や役者の方々と細かく意見を交わすようなことは敢えてせず、古沢さんの脚本と時代背景に遺された美術(着物の装飾や絵画など)を参考にしてイメージを膨らませています」。唯一のコンセプトとしては「昨年の2022年に一度ドラマ演出陣全員とミーティングした時に決めた“抽象的に表現する”というものがあります。ドラマを見る方々が想像を膨らませることができる表現を目指す、というものです」とした。

 「タイトルバックというものは、悲しい話の時も楽しい話の時も同じ映像がオープニングに流れます。同じ映像なのに毎度違うように感じるように抽象表現を用いています。『石のように見えるものは家臣たちかな』『太陽のような丸いものは家康か、または瀬名かな』など、丸や線で構成したアニメーションにどこか人を投影してしまうような想像を導く映像を心掛けて作っています」と腐心を明かした。今後もオープニング映像に期待したい。

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2023年5月15日のニュース