池田勇太 あこがれのジャンボに「近づけたかな」

[ 2010年11月22日 06:00 ]

通算15アンダーで今季4勝目をあげ、トロフィーを手にガッツポーズをする池田勇太

 男子ゴルフツアーのダンロップ・フェニックストーナメント最終日は21日、宮崎県宮崎市のフェニックスカントリークラブ(7010ヤード、パー71)で行われ、首位からスタートした池田勇太(24=日清食品)が66で回り、通算15アンダーで今季4勝目、通算8勝目を挙げた。この大会の日本人Vは02年の横尾要以来8年ぶり5人目。青木功、尾崎将司、中嶋常幸に続く史上4人目の2年連続年間4勝を達成し、賞金ランクは3位に浮上。2位に入った同ランクトップの金庚泰(24=韓国)とは約4100万円の開きがあるが、残り2試合での逆転賞金王に望みをつないだ。パープレーで回った石川遼(19=パナソニック)は通算2オーバーの33位に終わり、金庚泰との差は約3200万円に開いた。

【最終R成績


 これはまだ戦いの始まり。そして、偉大な先達を追いかけるための第一歩。優勝を決めた池田はウイニングボールを静かに拾い上げ、そのままポケットにしまった。

 「ここで勝つことができて、あこがれの方にちょっとでも近づけたんじゃないかと思う。ここでの優勝がどれだけ大きなものかを心に秘めている状態。これを残り2試合につなげていきたい」。笑顔の優勝スピーチでも、わき出る自信と喜びは心の中でかみしめた。

 単独首位からスタートした最終日、ショットがさえ渡ってフェアウエーキープ率は1位、パーオン率も4位を記録した。11番のボギーで猛追する金庚泰に1打差に迫られたが、12、13番とすぐさま連続バーディーで突き放す。15番では下りの4メートルのパーパットをねじ込んでガッツポーズ。すると直後に金庚泰が17番でダブルボギーを叩き、ここで勝敗は決した。

 尊敬するジャンボ尾崎が96年にプロ通算100勝を挙げた大会。当時10歳の池田はその様子をテレビで見ていた。「(キャディーの)佐野木さんとガッツポーズしてたよね。あの頃は100勝がどれだけ凄いか分かってなかったけど」。同じ舞台で優勝し、その尾崎が97年に達成して以来途絶えていた2年連続年間4勝の快挙も成し遂げた。

 「おふくろに言われたんだよ。稼ぎが悪い!ってよ。海外遠征いっぱいして、予定納税入れたら赤字だって」。母・ゆみさんにハッパをかけられながら終盤戦に調子を上げ年間1億円、生涯獲得賞金3億円も突破し賞金王への望みもつないだ。

 優勝した3週前のブリヂストン・オープンでは「2、3歩出遅れてる」と話していた賞金王レース。金庚泰が2位となったために差はまだ約4100万円。逆転賞金王には残り2戦で最低1勝が条件になる。「もう少し差が縮まってる予定だったんだけど、今も2、3歩だよな。だから今慌ててこいでるわけよ」。楽な条件ではないが、どんな厳しい状況も笑い飛ばせる姿に、ジャンボのような貫禄が少しだけにじみ出ていた。

 ≪生涯獲得賞金3億円超え≫2年連続での年間4勝以上達成は尾崎将司(3度)、青木功(3度)、中嶋常幸(2度)以来4人目。直近ではジャンボが94年から4年連続で達成している。これで池田の生涯獲得賞金は3億1217万円となった。24歳10カ月、56試合(今季のWGCは賞金加算されないために除く)での3億円突破は、いずれも石川遼に次ぐ年少&スピード記録。なお、74年に始まった今大会で日本人選手が勝つのは中嶋常幸、尾崎将司、片山晋呉、横尾要に続き5人目。日本人Vは02年の横尾以来8年ぶり。

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2010年11月22日のニュース