365日 あの頃ヒット曲ランキング 3月

【1995年3月】シングルベッド/シャ乱Q これが最後…飾らない自分描きミリオンセラー

[ 2012年3月20日 06:00 ]

 ★95年3月ランキング★
1 HELLO/福山雅治
2 ら・ら・ら/大黒摩季
3 MAICCA~まいっか/EAST END×YURI
4 Overnight Sensation~時代はあなたに委ねている~/TRF
5 KANSHAして/SMAP
6 サンキュ./ドリームズ・カム・トゥルー
7 シングルベッド/シャ乱Q
8 masquerade/TRF
9 奇跡の地球/桑田佳祐&Mr.Children
10 SO・YA・NA/WEST END×YUKI
注目TRY ME~私を信じて~/安室奈美恵with SUPR MONKEY’S
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【シングルベッド/シャ乱Q】

 これが最後、と思うと気取ることも、カッコつけることもなく、ありのままの自分を切り取って描くことができた。メジャーデビューして2年、そんな気持ちになったのは初めてだった。

 今時有名なアーティスト以外、バラードなんて売れない――。そんなことを会う人会う人に言われ続けながらも、シャ乱Qの6枚目のシングル「シングルベッド」は発売翌年の95年の冬から春にかけて好調なセールスを記録。計115万枚のミリオンセラーとなった。

 ボーカルのつんく♂のワンルームマンションにあったベッドが歌の“舞台”。女にフラれたみじめな自分という、作り話ではない姿を、飾らずに歌詞にした。

 実はこれで売れなかったら、本拠地である大阪に帰る覚悟をしていた。大阪で売れっ子になり、NHK「BSヤングバトル」でグランプリを獲得し、上京したものの、この世界は厳しかった。最後くらい虚飾のない自分のことを歌にしてみようと素直な気持ちになって作ったものだった。

 今までオシャレだと思っていたヘンなこだわりや余計なものを排除した歌詞に、チーフプロデューサーは書き直しどころか、ひと言こう言った。「天才だ」。シャ乱Qの新しい時代が始まった瞬間だった。

 派手なロックバンドはライブを数多くこなして、自分たちの歌を広めようとするものだが、5人のメンバーがやったのは全国の有線放送へ電話をかけたり、直接訪問すること。電話はリクエストというより、名を名乗り「もしよかったかけてください」とお願いした。

 それが1カ月も2カ月も続くと、応援してくれる人も自然増えてくる。自分たちで電話をかけなくても、一度耳にしたリスナーが今度は自分でかけてくる。その連鎖で上位にランキングされ話題になると、テレビ局も歌番組で取り上げた。気が付けば、人気バンドの仲間入りを果たしていた。

 それでも売れない時期を過ごしていたせいか、95年の大みそかに紅白歌合戦に出場した後は「96年に消えそうなパンドの1位」と自虐的に発言してみたりと、自信と不安が交差する毎日を過ごした。心配をよそに96年も「いいわけ」などがヒット。つんく♂もその後の「モーニング娘。」のプロデュースするなど、音楽の世界で一時代を築いた。

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